2009年12月13日日曜日

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 東の空が青く光り、地表の光線たちは闇へ身を潜めた。
 建物のシルエットが浮かび上がった。雪の中を水晶のように光っている。周囲は電子が煌めきを伴ってはしり、立ち並ぶ冥府の高射砲。
 それは祈りを捧げる墓石たち。
 絶え間ない、祈り。
 祈り。
 祈り。
 祈り。
 駆動音。
 我を救いたまえ。

 遥か昔。民の闘いへの本能の処理に苦慮した統治府は、あるショーを思いつく。闘いの本能の消化/昇華を目的としたプロジェクトである。

曰く。
「各一族の見目麗しい者たちを選び殺し合わせよ」
「戦歴によって各一族に発言権を与える」


真っ黒な穴が空いている。
巨大な滑空砲だ。滑空砲の大きな黒い口。うずまき。
うねる鉄管。吹き上がる蒸気。
灰色の雲に遮られた太陽

卒塔婆の群はまるで古代の寺院のようだ。
自己増殖していく、繭。
ケーブルが血管のように絡みついている。高電圧をかけられたケーブルが唸りをあげている。

 機影が地面を滑っていく。重爆撃機が轟音を立てて上空を通り過ぎていく。巨躯。度重なる改造によって、その身体の巨大化は進んでいくばかり。
 前方の少女の口から真言-マントラを垂れ流していく。
 ゴーンゴーンと。もの悲しい重低音。
 浮遊する銃座を何匹も引き連れて。

 これもまた一つの生命体だ。少女の素体が組み込まれている。彼女もまた人なり。


 闘争の象徴化された世界。
 闘争の形骸化された世界。

 駆動する少女たち。闘いの巫女。
 彼女たちは犠牲者である。
 彼女たちに自由意志は許されない。
 少女たちは簒奪者である。
 少女たちに休息は訪れない。

 それは儀式であり、本来の意味などとうに失われた。

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