2009年12月27日日曜日

2009年12月13日日曜日

イメージテキスト


 東の空が青く光り、地表の光線たちは闇へ身を潜めた。
 建物のシルエットが浮かび上がった。雪の中を水晶のように光っている。周囲は電子が煌めきを伴ってはしり、立ち並ぶ冥府の高射砲。
 それは祈りを捧げる墓石たち。
 絶え間ない、祈り。
 祈り。
 祈り。
 祈り。
 駆動音。
 我を救いたまえ。

 遥か昔。民の闘いへの本能の処理に苦慮した統治府は、あるショーを思いつく。闘いの本能の消化/昇華を目的としたプロジェクトである。

曰く。
「各一族の見目麗しい者たちを選び殺し合わせよ」
「戦歴によって各一族に発言権を与える」


真っ黒な穴が空いている。
巨大な滑空砲だ。滑空砲の大きな黒い口。うずまき。
うねる鉄管。吹き上がる蒸気。
灰色の雲に遮られた太陽

卒塔婆の群はまるで古代の寺院のようだ。
自己増殖していく、繭。
ケーブルが血管のように絡みついている。高電圧をかけられたケーブルが唸りをあげている。

 機影が地面を滑っていく。重爆撃機が轟音を立てて上空を通り過ぎていく。巨躯。度重なる改造によって、その身体の巨大化は進んでいくばかり。
 前方の少女の口から真言-マントラを垂れ流していく。
 ゴーンゴーンと。もの悲しい重低音。
 浮遊する銃座を何匹も引き連れて。

 これもまた一つの生命体だ。少女の素体が組み込まれている。彼女もまた人なり。


 闘争の象徴化された世界。
 闘争の形骸化された世界。

 駆動する少女たち。闘いの巫女。
 彼女たちは犠牲者である。
 彼女たちに自由意志は許されない。
 少女たちは簒奪者である。
 少女たちに休息は訪れない。

 それは儀式であり、本来の意味などとうに失われた。

2009年7月19日日曜日

ドッペルコンチェルト

ケーキに点した蝋燭を二人一緒に吹き消すのが、好きだった。今年は例年ほどには豪華なケーキは用意出来なかったけど、其の分所狭しと並んだ蝋燭15本、二人で消して祝い合ったのは僅かに数日前のこと。あたしたちは双子の姉妹。今、渇いた瓦礫の戦場で絢爛豪華な装甲纏い、崩れたビルの影から射撃で互いを「牽制」し合うあたしと、お姉様は。

殺人ショーで金を動かす「企業」は人の絆さえ食い物にする。参加したくもなかった此の戦い、二人の初陣の対戦相手が互いだと、戦場に立ってから知った。御揃いのドレスに御揃いの武器。殺し合うあたしたちがよく似た双子であることを売りにでもするつもりだろう。……癪に障る。

此の状況下でどちらかが相手を殺すことは物理的には易しいけれど、片割れを亡くして生きて行けるほどきっとあたしたちは強くない。優しくて愛らしいお姉様。同じ顔なのにあたしより幾らも美人な彼女は周囲にちやほやされていたけれど、底抜けに無邪気な彼女に不思議と嫉妬はしなかった。其れどころかどうしようもない泣き虫で、あたしが居ないと駄目な存在。そして彼女を守ることがあたしの役目。互いが互いの存在理由、どちらを欠いても成り立たない相互依存。
やがて身を隠すのをやめてこちらに近付く彼女はほら、今だってもう泣きべそをかいて、けれど其れも仕方ない。飛び道具を切らした以上、牽制し合う振りを装い時間を稼ぐ術がもう無いのだから。他に支給されていた、兇悪に過ぎる接近戦の武器。其の中では未だ幾らか大人しく見える高周波ブレードが今、彼女の白い手の中にある。あたしの手にも。ふたり、同じ決断をしていた。
「飽きちゃったよね」
「終わらせちゃおっか」
わたしが笑うと、彼女も泣き腫らした目で微笑んだ。以心伝心、と云うのだろうか。あたしたちは同じことを考える。一緒に蝋燭を消す時だって、「せーの」の合図なんて要らない。だから同時に振り上げた刃は、確実に同じ瞬間に互いの命の灯を消してくれる。

――身を貫く衝撃。

折れた刃が宙を舞う。放物線を描いて、落ちる。袈裟掛けに斬撃を受けてよろめくあたし。一瞬遅れて痛みを識った。世界が揺れる。派手な血飛沫。けれど其の様に目を瞠るお姉様に、傷は無い。其の手に血刀。折れたのはあたしの得物。
「なんで……」
込み上げた鮮血が言葉を奪う。伸ばされた腕に抱き留められた刹那、ふわり宙に浮く様な、自分の躯の異様な軽さ。重い音がして目を遣れば、地に崩れ伏した「わたしの躯」。胸の下で切断された傷口から血と共に零れ落ちてゆく臓腑が湿った音を立てて重なる。押し止めようとあがいたけれど、肘から先を皮一枚でぶら下げていた片腕を血溜まりに落としただけ。
絶叫は、声を成さない。
何故?同じ武器、同じタイミング、力だって変わりない。ただ、あたしたちに誂えられた見目には同じ装甲の、強度だけが格段に違った。
何故?同じ日に生まれ、同じ時を生きて来た双子の、あたしだけが死ぬ。
「どうしてこんな……」
お姉様、大好きなお姉様。優しくて、泣き虫で、美しい……美しい?嗚呼、そうだ。あたしよりも美しいお姉様。其の差異が生死を分けた?
「死なないで……」
どうして?お姉様の涙を見てもこんなにも心が冷える。嗚呼お姉様、泣き顔さえもお綺麗でお綺麗でお綺麗で……



何故だか理不尽な話が書きたくなりました。理不尽な。
愛憎だとか劣等感とかが好きなんです。(完全に趣味)

2009年7月13日月曜日

ラビットハント

灼けたコンクリートを踏み拉くロリータ靴は見た目にも重く、搭載した機動ユニットのエンジンを起動しない今、まさに足枷を思わせた。其れでも自分を見詰める無数の視線を思えば“ラヴィ”の足取りは殊更優雅なものになる。否、其れは足取りだけでなく、荒んだビル風に遊ぶドレスの裾さばき、光の軌跡描くブロンドの髪をかき上げる仕草から、口元に湛えた微笑まで。
やっと傾き始めた太陽の寄越す幾分棘のある陽射し。其れを遮る純白の日傘の内側に表示されたレーダーに“ラヴィ”は目を遣る。自分を中心に展開する幾つかの点の配置を確認した。下準備は、終了だ。
やがてレーダーに映し出される敵影が此処が戦場であることを思い出させる。無論、彼女が失念する筈はなく、彼女と視覚を共有している観客達に、と云う話。
急速に迫る敵影をレーダーのみで確かめて、日傘を少し、其方へ向けた。其れで正解。雨と降り注ぐ砲弾がコンクリートを易く穿って砂塵を巻き上げる。けれど特殊装甲で誂えた日傘の影に身を隠す“ラヴィ”の細い眉が歪むのは、砂埃が服を汚すのを厭うただけのこと。
「散々待たせて、随分な御挨拶ね」
共有する意識下に語りかけたところで返答は途切れぬ掃射のみ。生死が掛かって居るのだから、余裕などなくて当然。
防戦に徹して居ると思われることが癪で、応射を1、2発。相手へと向けた石突の先から放った熱線は並の装甲をものともしない。其れを知らしめる為の威嚇は思った以上に意を得たろうか。倒壊したビルの影に隠れた敵の姿を、薄れぬ粉塵の向こうにシルエットだけで確認した。敵が間合いを取るのをレーダーは告げた。
「逃げるの?わたし急いでいるの……どうしても御茶の時間までに帰りたいのよ」
首に掛けた懐中時計はじきに3時を刻む。操作をすれば何処かから無数に響く電子音は、聞く者に危険を知らせる類の其れ。
相手の意識の動揺が手に取る様に伝わって、“ラヴィ”の喉を愉悦の音に震わせた。カウントダウン。此の戦いの始まる前に此のフィールドに“ラヴィ”の仕掛けたデストラップが時を刻み始める。レーダーの上で其れを表す定点は易く十を数えて、此処に留まること即ち死。
“ラヴィ”自身は此の檻の鍵を持って居るにしても。
「でも、折角だから其れまでは鬼ごっこでもしましょうか?」
全て彼女の掌の上。
「ね、鬼に捕まるとどうなると思う」
脚部機動ユニット起動、直後に最大出力を叩き出して敵との距離を一瞬で無に帰す。

戦いはやがて蹂躙戦の様を呈す。観客の期待に沿うが為に。




「余裕があるがゆえに観客の期待に応えようとする少女」。

ほとんどの「少女」は生き残る為仕方なく戦っているようですが、ごく一部に圧倒的な力を与えられ、戦いと云うよりはほぼ一方的な虐殺・処刑ショーをしてショービジネスに貢献していたらな、と。生きる為の戦いでは出来ない演出や何かで観客を愉しませる役割をになっています。彼女たちは「少女」でありながら企業側の人間。武力で他のフツーの少女達の反乱を抑止ししています。というか存在そのものが威嚇です。とにかく体制の維持に貢献。その立場に至るには、勝ち続けるなり最初からスポンサーを掴むなり、手段は色々。胸中は当人たちしか知らないので、悪役か否かも色々。

そんな感じで書いてました。

2009年7月12日日曜日

090712マインドマップ

テスト2


別のソフトで再撮影。

テスト

プレゼンはこんな感じで