2009年6月20日土曜日

1-3

名前。

彼女たちは品番のほかに愛称でもって呼称された。
それは彼女たち自身に人格を認めるものではなく、「兵器には女の名前をつける」という古来よりの慣習によるものだった。

だが、それらは彼女たちのおそらく唯一の持ち物であり、彼女たちはことさらにそれらで呼称されることを好んだ。

明日を迎えられる保証のない身は、それだけ自らの思い出を他人の中に残したいという想いを生んだ。
できるだけ、長く。

自分の存在意義は戦果を挙げることでも視聴率を上げることでもなく、名前を呼ばれることだけ。
それだけだった。

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