2009年6月21日日曜日

1-4

逃亡のドローイング
自由への飛翔

疾走弾雨

視界を覆う煌めくデジタル情報

血風瓦解
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“ロゼッタ”は駆け出した。
脚部のサーボが駆動して、白煙をあげながら回転。視界をうねるデジタル信号たちが敵機の集弾予測ポイントで綺羅めく曲線を描き出した。
ジャンプ。
少女とそれを包む機動ユニットが、瞬く間に空へ駆け上がった。
フラッシュ。
敵機をジャミングするためのデコイたちが背部から次々と虹色の軌跡を描いて射出された。
クラッシュ。
敵機から発射された誘導兵器群がそれらに衝突、撃破。
ブレイク。
残った誘導兵器がロゼッタへ殺到。回避。少女後方で自爆。
ダンス。

クロームの軀中から伸びたジェット噴射口が後方に一直線に伸びた。
ダッシュ。

一直線に。

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“エレ”は自分の射撃がすべて敵機を捉えきれなかったことを悟った。
彼女の軀中から幾重にも枝分かれしてブレードが発生し、八重垣を形成した。
相手は高速で飛来する機動兵器。これを捕捉するのは極めて困難だったが、相手の目標は自分の撃破、決定打を失った今、止めを刺しにこちらに一気に接近してくるはず。
それはつまり、自分はもうすぐ死ぬということ。
そしてつまり、相手ももうすぐ死ぬということ。

やってやる。

限界まで加速された視神経は、視界を極彩色に彩った。
フリルからの大量の熱の放出のため、周囲は焼け爛れていた。
両脚のアンカーのボルトが爆発し、地面から固定を解除する。

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“ロゼッタ”が超音速で衝突。
“エレ”の張り巡らせたブレードの85パーセントが大破。
“ロゼッタ”の多重構造装甲ドレスが破片となって衝撃波と共に四散。
“エレ”、高周波ブレードを八方から乱撃。蒸気とオイルの多重の瀑布を描き刃が殺到(ラッシュ)。
“ロゼッタ”の残像(デコイ)を八つ裂きに。CPUの勝利。
“エレ”の胸部に鋼の塊-踵“ヒール”がヒット。
“ロゼッタ”の回し蹴り。
“エレ”の胸部装甲が爆散(パージ)。リアクティブアーマー。ノーダメージ。吹き飛ばされるが着地。
“ロゼッタ”の第三の腕(リボン)がそれを追撃。紡錘形を形成して猛撃。
“エレ”の強制命令介入(フィジカルハッキング)がそれをキャンセル。リボンの構造を分解。
“ロゼッタ”の残り二本の腕が切り飛ばされる。
“エレ”が地中に残した伏兵(ブレード)。戦術ミス。
“ロゼッタ”の腕は最初から使われていない。囮(デコイ)。

猛然と接近したロゼッタから放たれたハイキックがエレの頸椎を破壊。
衝撃が少女の上半身を粉砕した。

それは奇怪なオブジェのよう。
それは乱れ咲いた薔薇のよう。

少女の存在価値がそこに降臨したかのようだった。

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