2009年12月13日日曜日
イメージテキスト
▼
東の空が青く光り、地表の光線たちは闇へ身を潜めた。
建物のシルエットが浮かび上がった。雪の中を水晶のように光っている。周囲は電子が煌めきを伴ってはしり、立ち並ぶ冥府の高射砲。
それは祈りを捧げる墓石たち。
絶え間ない、祈り。
祈り。
祈り。
祈り。
駆動音。
我を救いたまえ。
遥か昔。民の闘いへの本能の処理に苦慮した統治府は、あるショーを思いつく。闘いの本能の消化/昇華を目的としたプロジェクトである。
曰く。
「各一族の見目麗しい者たちを選び殺し合わせよ」
「戦歴によって各一族に発言権を与える」
▼
真っ黒な穴が空いている。
巨大な滑空砲だ。滑空砲の大きな黒い口。うずまき。
うねる鉄管。吹き上がる蒸気。
灰色の雲に遮られた太陽
卒塔婆の群はまるで古代の寺院のようだ。
自己増殖していく、繭。
ケーブルが血管のように絡みついている。高電圧をかけられたケーブルが唸りをあげている。
▼
機影が地面を滑っていく。重爆撃機が轟音を立てて上空を通り過ぎていく。巨躯。度重なる改造によって、その身体の巨大化は進んでいくばかり。
前方の少女の口から真言-マントラを垂れ流していく。
ゴーンゴーンと。もの悲しい重低音。
浮遊する銃座を何匹も引き連れて。
これもまた一つの生命体だ。少女の素体が組み込まれている。彼女もまた人なり。
▼
闘争の象徴化された世界。
闘争の形骸化された世界。
駆動する少女たち。闘いの巫女。
彼女たちは犠牲者である。
彼女たちに自由意志は許されない。
少女たちは簒奪者である。
少女たちに休息は訪れない。
それは儀式であり、本来の意味などとうに失われた。
東の空が青く光り、地表の光線たちは闇へ身を潜めた。
建物のシルエットが浮かび上がった。雪の中を水晶のように光っている。周囲は電子が煌めきを伴ってはしり、立ち並ぶ冥府の高射砲。
それは祈りを捧げる墓石たち。
絶え間ない、祈り。
祈り。
祈り。
祈り。
駆動音。
我を救いたまえ。
遥か昔。民の闘いへの本能の処理に苦慮した統治府は、あるショーを思いつく。闘いの本能の消化/昇華を目的としたプロジェクトである。
曰く。
「各一族の見目麗しい者たちを選び殺し合わせよ」
「戦歴によって各一族に発言権を与える」
▼
真っ黒な穴が空いている。
巨大な滑空砲だ。滑空砲の大きな黒い口。うずまき。
うねる鉄管。吹き上がる蒸気。
灰色の雲に遮られた太陽
卒塔婆の群はまるで古代の寺院のようだ。
自己増殖していく、繭。
ケーブルが血管のように絡みついている。高電圧をかけられたケーブルが唸りをあげている。
▼
機影が地面を滑っていく。重爆撃機が轟音を立てて上空を通り過ぎていく。巨躯。度重なる改造によって、その身体の巨大化は進んでいくばかり。
前方の少女の口から真言-マントラを垂れ流していく。
ゴーンゴーンと。もの悲しい重低音。
浮遊する銃座を何匹も引き連れて。
これもまた一つの生命体だ。少女の素体が組み込まれている。彼女もまた人なり。
▼
闘争の象徴化された世界。
闘争の形骸化された世界。
駆動する少女たち。闘いの巫女。
彼女たちは犠牲者である。
彼女たちに自由意志は許されない。
少女たちは簒奪者である。
少女たちに休息は訪れない。
それは儀式であり、本来の意味などとうに失われた。
2009年7月19日日曜日
ドッペルコンチェルト
ケーキに点した蝋燭を二人一緒に吹き消すのが、好きだった。今年は例年ほどには豪華なケーキは用意出来なかったけど、其の分所狭しと並んだ蝋燭15本、二人で消して祝い合ったのは僅かに数日前のこと。あたしたちは双子の姉妹。今、渇いた瓦礫の戦場で絢爛豪華な装甲纏い、崩れたビルの影から射撃で互いを「牽制」し合うあたしと、お姉様は。
殺人ショーで金を動かす「企業」は人の絆さえ食い物にする。参加したくもなかった此の戦い、二人の初陣の対戦相手が互いだと、戦場に立ってから知った。御揃いのドレスに御揃いの武器。殺し合うあたしたちがよく似た双子であることを売りにでもするつもりだろう。……癪に障る。
此の状況下でどちらかが相手を殺すことは物理的には易しいけれど、片割れを亡くして生きて行けるほどきっとあたしたちは強くない。優しくて愛らしいお姉様。同じ顔なのにあたしより幾らも美人な彼女は周囲にちやほやされていたけれど、底抜けに無邪気な彼女に不思議と嫉妬はしなかった。其れどころかどうしようもない泣き虫で、あたしが居ないと駄目な存在。そして彼女を守ることがあたしの役目。互いが互いの存在理由、どちらを欠いても成り立たない相互依存。
やがて身を隠すのをやめてこちらに近付く彼女はほら、今だってもう泣きべそをかいて、けれど其れも仕方ない。飛び道具を切らした以上、牽制し合う振りを装い時間を稼ぐ術がもう無いのだから。他に支給されていた、兇悪に過ぎる接近戦の武器。其の中では未だ幾らか大人しく見える高周波ブレードが今、彼女の白い手の中にある。あたしの手にも。ふたり、同じ決断をしていた。
「飽きちゃったよね」
「終わらせちゃおっか」
わたしが笑うと、彼女も泣き腫らした目で微笑んだ。以心伝心、と云うのだろうか。あたしたちは同じことを考える。一緒に蝋燭を消す時だって、「せーの」の合図なんて要らない。だから同時に振り上げた刃は、確実に同じ瞬間に互いの命の灯を消してくれる。
――身を貫く衝撃。
折れた刃が宙を舞う。放物線を描いて、落ちる。袈裟掛けに斬撃を受けてよろめくあたし。一瞬遅れて痛みを識った。世界が揺れる。派手な血飛沫。けれど其の様に目を瞠るお姉様に、傷は無い。其の手に血刀。折れたのはあたしの得物。
「なんで……」
込み上げた鮮血が言葉を奪う。伸ばされた腕に抱き留められた刹那、ふわり宙に浮く様な、自分の躯の異様な軽さ。重い音がして目を遣れば、地に崩れ伏した「わたしの躯」。胸の下で切断された傷口から血と共に零れ落ちてゆく臓腑が湿った音を立てて重なる。押し止めようとあがいたけれど、肘から先を皮一枚でぶら下げていた片腕を血溜まりに落としただけ。
絶叫は、声を成さない。
何故?同じ武器、同じタイミング、力だって変わりない。ただ、あたしたちに誂えられた見目には同じ装甲の、強度だけが格段に違った。
何故?同じ日に生まれ、同じ時を生きて来た双子の、あたしだけが死ぬ。
「どうしてこんな……」
お姉様、大好きなお姉様。優しくて、泣き虫で、美しい……美しい?嗚呼、そうだ。あたしよりも美しいお姉様。其の差異が生死を分けた?
「死なないで……」
どうして?お姉様の涙を見てもこんなにも心が冷える。嗚呼お姉様、泣き顔さえもお綺麗でお綺麗でお綺麗で……
*
何故だか理不尽な話が書きたくなりました。理不尽な。
愛憎だとか劣等感とかが好きなんです。(完全に趣味)
殺人ショーで金を動かす「企業」は人の絆さえ食い物にする。参加したくもなかった此の戦い、二人の初陣の対戦相手が互いだと、戦場に立ってから知った。御揃いのドレスに御揃いの武器。殺し合うあたしたちがよく似た双子であることを売りにでもするつもりだろう。……癪に障る。
此の状況下でどちらかが相手を殺すことは物理的には易しいけれど、片割れを亡くして生きて行けるほどきっとあたしたちは強くない。優しくて愛らしいお姉様。同じ顔なのにあたしより幾らも美人な彼女は周囲にちやほやされていたけれど、底抜けに無邪気な彼女に不思議と嫉妬はしなかった。其れどころかどうしようもない泣き虫で、あたしが居ないと駄目な存在。そして彼女を守ることがあたしの役目。互いが互いの存在理由、どちらを欠いても成り立たない相互依存。
やがて身を隠すのをやめてこちらに近付く彼女はほら、今だってもう泣きべそをかいて、けれど其れも仕方ない。飛び道具を切らした以上、牽制し合う振りを装い時間を稼ぐ術がもう無いのだから。他に支給されていた、兇悪に過ぎる接近戦の武器。其の中では未だ幾らか大人しく見える高周波ブレードが今、彼女の白い手の中にある。あたしの手にも。ふたり、同じ決断をしていた。
「飽きちゃったよね」
「終わらせちゃおっか」
わたしが笑うと、彼女も泣き腫らした目で微笑んだ。以心伝心、と云うのだろうか。あたしたちは同じことを考える。一緒に蝋燭を消す時だって、「せーの」の合図なんて要らない。だから同時に振り上げた刃は、確実に同じ瞬間に互いの命の灯を消してくれる。
――身を貫く衝撃。
折れた刃が宙を舞う。放物線を描いて、落ちる。袈裟掛けに斬撃を受けてよろめくあたし。一瞬遅れて痛みを識った。世界が揺れる。派手な血飛沫。けれど其の様に目を瞠るお姉様に、傷は無い。其の手に血刀。折れたのはあたしの得物。
「なんで……」
込み上げた鮮血が言葉を奪う。伸ばされた腕に抱き留められた刹那、ふわり宙に浮く様な、自分の躯の異様な軽さ。重い音がして目を遣れば、地に崩れ伏した「わたしの躯」。胸の下で切断された傷口から血と共に零れ落ちてゆく臓腑が湿った音を立てて重なる。押し止めようとあがいたけれど、肘から先を皮一枚でぶら下げていた片腕を血溜まりに落としただけ。
絶叫は、声を成さない。
何故?同じ武器、同じタイミング、力だって変わりない。ただ、あたしたちに誂えられた見目には同じ装甲の、強度だけが格段に違った。
何故?同じ日に生まれ、同じ時を生きて来た双子の、あたしだけが死ぬ。
「どうしてこんな……」
お姉様、大好きなお姉様。優しくて、泣き虫で、美しい……美しい?嗚呼、そうだ。あたしよりも美しいお姉様。其の差異が生死を分けた?
「死なないで……」
どうして?お姉様の涙を見てもこんなにも心が冷える。嗚呼お姉様、泣き顔さえもお綺麗でお綺麗でお綺麗で……
*
何故だか理不尽な話が書きたくなりました。理不尽な。
愛憎だとか劣等感とかが好きなんです。(完全に趣味)
2009年7月13日月曜日
ラビットハント
灼けたコンクリートを踏み拉くロリータ靴は見た目にも重く、搭載した機動ユニットのエンジンを起動しない今、まさに足枷を思わせた。其れでも自分を見詰める無数の視線を思えば“ラヴィ”の足取りは殊更優雅なものになる。否、其れは足取りだけでなく、荒んだビル風に遊ぶドレスの裾さばき、光の軌跡描くブロンドの髪をかき上げる仕草から、口元に湛えた微笑まで。
やっと傾き始めた太陽の寄越す幾分棘のある陽射し。其れを遮る純白の日傘の内側に表示されたレーダーに“ラヴィ”は目を遣る。自分を中心に展開する幾つかの点の配置を確認した。下準備は、終了だ。
やがてレーダーに映し出される敵影が此処が戦場であることを思い出させる。無論、彼女が失念する筈はなく、彼女と視覚を共有している観客達に、と云う話。
急速に迫る敵影をレーダーのみで確かめて、日傘を少し、其方へ向けた。其れで正解。雨と降り注ぐ砲弾がコンクリートを易く穿って砂塵を巻き上げる。けれど特殊装甲で誂えた日傘の影に身を隠す“ラヴィ”の細い眉が歪むのは、砂埃が服を汚すのを厭うただけのこと。
「散々待たせて、随分な御挨拶ね」
共有する意識下に語りかけたところで返答は途切れぬ掃射のみ。生死が掛かって居るのだから、余裕などなくて当然。
防戦に徹して居ると思われることが癪で、応射を1、2発。相手へと向けた石突の先から放った熱線は並の装甲をものともしない。其れを知らしめる為の威嚇は思った以上に意を得たろうか。倒壊したビルの影に隠れた敵の姿を、薄れぬ粉塵の向こうにシルエットだけで確認した。敵が間合いを取るのをレーダーは告げた。
「逃げるの?わたし急いでいるの……どうしても御茶の時間までに帰りたいのよ」
首に掛けた懐中時計はじきに3時を刻む。操作をすれば何処かから無数に響く電子音は、聞く者に危険を知らせる類の其れ。
相手の意識の動揺が手に取る様に伝わって、“ラヴィ”の喉を愉悦の音に震わせた。カウントダウン。此の戦いの始まる前に此のフィールドに“ラヴィ”の仕掛けたデストラップが時を刻み始める。レーダーの上で其れを表す定点は易く十を数えて、此処に留まること即ち死。
“ラヴィ”自身は此の檻の鍵を持って居るにしても。
「でも、折角だから其れまでは鬼ごっこでもしましょうか?」
全て彼女の掌の上。
「ね、鬼に捕まるとどうなると思う」
脚部機動ユニット起動、直後に最大出力を叩き出して敵との距離を一瞬で無に帰す。
戦いはやがて蹂躙戦の様を呈す。観客の期待に沿うが為に。
*
「余裕があるがゆえに観客の期待に応えようとする少女」。
ほとんどの「少女」は生き残る為仕方なく戦っているようですが、ごく一部に圧倒的な力を与えられ、戦いと云うよりはほぼ一方的な虐殺・処刑ショーをしてショービジネスに貢献していたらな、と。生きる為の戦いでは出来ない演出や何かで観客を愉しませる役割をになっています。彼女たちは「少女」でありながら企業側の人間。武力で他のフツーの少女達の反乱を抑止ししています。というか存在そのものが威嚇です。とにかく体制の維持に貢献。その立場に至るには、勝ち続けるなり最初からスポンサーを掴むなり、手段は色々。胸中は当人たちしか知らないので、悪役か否かも色々。
そんな感じで書いてました。
やっと傾き始めた太陽の寄越す幾分棘のある陽射し。其れを遮る純白の日傘の内側に表示されたレーダーに“ラヴィ”は目を遣る。自分を中心に展開する幾つかの点の配置を確認した。下準備は、終了だ。
やがてレーダーに映し出される敵影が此処が戦場であることを思い出させる。無論、彼女が失念する筈はなく、彼女と視覚を共有している観客達に、と云う話。
急速に迫る敵影をレーダーのみで確かめて、日傘を少し、其方へ向けた。其れで正解。雨と降り注ぐ砲弾がコンクリートを易く穿って砂塵を巻き上げる。けれど特殊装甲で誂えた日傘の影に身を隠す“ラヴィ”の細い眉が歪むのは、砂埃が服を汚すのを厭うただけのこと。
「散々待たせて、随分な御挨拶ね」
共有する意識下に語りかけたところで返答は途切れぬ掃射のみ。生死が掛かって居るのだから、余裕などなくて当然。
防戦に徹して居ると思われることが癪で、応射を1、2発。相手へと向けた石突の先から放った熱線は並の装甲をものともしない。其れを知らしめる為の威嚇は思った以上に意を得たろうか。倒壊したビルの影に隠れた敵の姿を、薄れぬ粉塵の向こうにシルエットだけで確認した。敵が間合いを取るのをレーダーは告げた。
「逃げるの?わたし急いでいるの……どうしても御茶の時間までに帰りたいのよ」
首に掛けた懐中時計はじきに3時を刻む。操作をすれば何処かから無数に響く電子音は、聞く者に危険を知らせる類の其れ。
相手の意識の動揺が手に取る様に伝わって、“ラヴィ”の喉を愉悦の音に震わせた。カウントダウン。此の戦いの始まる前に此のフィールドに“ラヴィ”の仕掛けたデストラップが時を刻み始める。レーダーの上で其れを表す定点は易く十を数えて、此処に留まること即ち死。
“ラヴィ”自身は此の檻の鍵を持って居るにしても。
「でも、折角だから其れまでは鬼ごっこでもしましょうか?」
全て彼女の掌の上。
「ね、鬼に捕まるとどうなると思う」
脚部機動ユニット起動、直後に最大出力を叩き出して敵との距離を一瞬で無に帰す。
戦いはやがて蹂躙戦の様を呈す。観客の期待に沿うが為に。
*
「余裕があるがゆえに観客の期待に応えようとする少女」。
ほとんどの「少女」は生き残る為仕方なく戦っているようですが、ごく一部に圧倒的な力を与えられ、戦いと云うよりはほぼ一方的な虐殺・処刑ショーをしてショービジネスに貢献していたらな、と。生きる為の戦いでは出来ない演出や何かで観客を愉しませる役割をになっています。彼女たちは「少女」でありながら企業側の人間。武力で他のフツーの少女達の反乱を抑止ししています。というか存在そのものが威嚇です。とにかく体制の維持に貢献。その立場に至るには、勝ち続けるなり最初からスポンサーを掴むなり、手段は色々。胸中は当人たちしか知らないので、悪役か否かも色々。
そんな感じで書いてました。
2009年7月12日日曜日
個人的な裏方イメージ
「駄目だよあの子。もっと綺麗な子じゃないと新作のドレスは着せらんない」
ラフなスケッチの紙面が散らばる机に脚をあげ、煙草片手にさも嫌そうに女は眉目を曇らせた。
「ですが、」
「あのドレスに積んでる火器と装甲、どれだけの予算かけたと思ってる?今度の作戦はわたしの名前をあげるチャンスなの。モデルは最良のじゃないとイヤ」
女衒の言葉を遮ってエゴに満ち満ちた御口上。辺りには絢爛なドレス纏わせたトルソーが幾つも並び、机の上の紙面は製図とデザイン図。全て、今不機嫌に紫煙燻らす此の女の手になるもの。あの作品のどれか一つでも小国の歳費に相当するほどの金が動いて仕舞うのだから、彼女の多少の横柄はまかり通るのも仕方無い。
「ですが先日のあの娘、借金を返す為仕方なく志願してきたクチですから……」
云いそびれた先の続きを発すれば、わざとらしい憫笑ひとつ。
「ふぅん?そう?御気の毒さま。じゃ、二つほど旧い型のならあげても良いよ、30秒はもつでしょ?」
細く煙を吐き出しながら、女は今はエナメルの光沢を寄越す自らの爪に目を落とし、相手のことなど見もしない。そうしてまるで片手間のどうでも良さで、他者の生死を決定付ける。
「今度はもっとマシなの連れて来てよ。あれじゃ観客も取れないじゃない」
「すみません。埋め合わせは必ず……」
「そ?わたし、此の次はブロンドのが一人欲しいんだ。真っ赤な衣裳にしたいから、ほら、赤と金ってよく映えるでしょ――」
*
戦う背景:風俗イメージ。(←やりたくないけれど頑張らざるを得ない、少女であることの必然性、より)
・与えられる戦闘力はルックスで等級付け。
・前金+勝つ毎の賞金。
∵観客は戦いにクオリティを求めますが、勝つことに何らかのメリットが無い限りパフォーマーは戦い(サービス)に手抜きをすると思うのです。
ex.>自殺、楽な死に方etc. (どうせ死ぬなら早く死にたいし綺麗に死にたいと思います)
ラフなスケッチの紙面が散らばる机に脚をあげ、煙草片手にさも嫌そうに女は眉目を曇らせた。
「ですが、」
「あのドレスに積んでる火器と装甲、どれだけの予算かけたと思ってる?今度の作戦はわたしの名前をあげるチャンスなの。モデルは最良のじゃないとイヤ」
女衒の言葉を遮ってエゴに満ち満ちた御口上。辺りには絢爛なドレス纏わせたトルソーが幾つも並び、机の上の紙面は製図とデザイン図。全て、今不機嫌に紫煙燻らす此の女の手になるもの。あの作品のどれか一つでも小国の歳費に相当するほどの金が動いて仕舞うのだから、彼女の多少の横柄はまかり通るのも仕方無い。
「ですが先日のあの娘、借金を返す為仕方なく志願してきたクチですから……」
云いそびれた先の続きを発すれば、わざとらしい憫笑ひとつ。
「ふぅん?そう?御気の毒さま。じゃ、二つほど旧い型のならあげても良いよ、30秒はもつでしょ?」
細く煙を吐き出しながら、女は今はエナメルの光沢を寄越す自らの爪に目を落とし、相手のことなど見もしない。そうしてまるで片手間のどうでも良さで、他者の生死を決定付ける。
「今度はもっとマシなの連れて来てよ。あれじゃ観客も取れないじゃない」
「すみません。埋め合わせは必ず……」
「そ?わたし、此の次はブロンドのが一人欲しいんだ。真っ赤な衣裳にしたいから、ほら、赤と金ってよく映えるでしょ――」
*
戦う背景:風俗イメージ。(←やりたくないけれど頑張らざるを得ない、少女であることの必然性、より)
・与えられる戦闘力はルックスで等級付け。
・前金+勝つ毎の賞金。
∵観客は戦いにクオリティを求めますが、勝つことに何らかのメリットが無い限りパフォーマーは戦い(サービス)に手抜きをすると思うのです。
ex.>自殺、楽な死に方etc. (どうせ死ぬなら早く死にたいし綺麗に死にたいと思います)
2009年7月11日土曜日
2009年7月6日月曜日
2009年7月1日水曜日
少女危機(仮)について
ある日、「同人誌って作ってみたいねぇ」とにしんと話していて、では彼は萌え絵が描けるし僕(dainmt)はサイバーパンクの知識が(ちょっとだけ)あるから、“萌えサイバーパンク”を作ろうという話になった。
始めてみてから僕にはじつはサイバーパンクの知識なんてこれっぽっちもないことに気づいたが、とりあえず物を作るのは好きであったし、集団作業の良い勉強になるだろう、くらいの意気込みで始めてみたのだった。
ところで僕はデザイン系の学校を出ているにもかかわらず、絵も文もへたくそなのだが、他にもやることはたくさんあるだろうから、それをやることにしている。(ブログの更新とか)
少女危機(仮)のタイトルはもともと、様々な世界の少女たちが危機に陥る話を考えていたときに浮かんだ言葉で、その時に考えていたネタはもう欠片も思い出せないのだが、語感がかっこいいので、仮のタイトルとしている。そもそもなぜ少女かと言えば、にしんは女の子を可愛く描くし、僕も女の子が大好きであったのでとりあえずテーマとして決めたので、深い意味はない。
だが、ある危機を描くのはエンターテインメントの王道だとは思っている。
いまのところ決まっているキーワードは
“少女”
“装飾”
“兵器”
の三つだ。
少女にはなんといっても華があるし、それなら装飾品なんかにも凝りたい。そこに兵器を組み合わせれば、じつにオーソドックスなエンターテインメントになるんじゃあないか。
その程度の認識で決めてしまっているが、この三つの言葉は企画開始当初から変更されていない。核になるかもしれない言葉たちだ。
2009年6月30日火曜日
プロジェクトマップ経緯
2009年6月25日木曜日
2009年6月24日水曜日
少女危機(仮)課題

- 1 必要な事、やるべきことはなんだろう。
- 2 世界観のブレを少なくしていく
- 2.1 世界観の方向性
- 2.1.1 少女
- 2.1.2 フィールド
- 2.1.3 背景
- 2.1.3.1 etc...
- 2.2 キーワードまとめていく。
- 2.2.1 各自で
- 3 現状の把握、まとめ
- 3.1 全員にわかりやすく図示
- 3.2 現在地の確認。
- 3.3 ゴールの設定
- 3.3.1 どこに設定したら良いだろう?
- 3.4 同人誌の方向性
- 4 パーティーのモチベーションの維持
- 4.1 魅力的なワード
- 4.2 世界
- 4.3 描写
- 4.4 各自の興味対象
- 4.4.1 の方向
- 4.5 インタビュー
- 4.5.1 なにを訊く?
- 4.5.1.1 なにを表現したい?
- 4.5.1.2 どこ(なに)に魅力を感じる?
- 5 「合い言葉」を探せ!
- 5.1 みんなのキーワード
- 5.1.1 アイデアのコンセンサスが取り易くなる!
2009年6月21日日曜日
1-4
逃亡のドローイング
自由への飛翔
疾走弾雨
視界を覆う煌めくデジタル情報
血風瓦解
-------------------
“ロゼッタ”は駆け出した。
脚部のサーボが駆動して、白煙をあげながら回転。視界をうねるデジタル信号たちが敵機の集弾予測ポイントで綺羅めく曲線を描き出した。
ジャンプ。
少女とそれを包む機動ユニットが、瞬く間に空へ駆け上がった。
フラッシュ。
敵機をジャミングするためのデコイたちが背部から次々と虹色の軌跡を描いて射出された。
クラッシュ。
敵機から発射された誘導兵器群がそれらに衝突、撃破。
ブレイク。
残った誘導兵器がロゼッタへ殺到。回避。少女後方で自爆。
ダンス。
クロームの軀中から伸びたジェット噴射口が後方に一直線に伸びた。
ダッシュ。
一直線に。
---------------------
“エレ”は自分の射撃がすべて敵機を捉えきれなかったことを悟った。
彼女の軀中から幾重にも枝分かれしてブレードが発生し、八重垣を形成した。
相手は高速で飛来する機動兵器。これを捕捉するのは極めて困難だったが、相手の目標は自分の撃破、決定打を失った今、止めを刺しにこちらに一気に接近してくるはず。
それはつまり、自分はもうすぐ死ぬということ。
そしてつまり、相手ももうすぐ死ぬということ。
やってやる。
限界まで加速された視神経は、視界を極彩色に彩った。
フリルからの大量の熱の放出のため、周囲は焼け爛れていた。
両脚のアンカーのボルトが爆発し、地面から固定を解除する。
--------------------
“ロゼッタ”が超音速で衝突。
“エレ”の張り巡らせたブレードの85パーセントが大破。
“ロゼッタ”の多重構造装甲ドレスが破片となって衝撃波と共に四散。
“エレ”、高周波ブレードを八方から乱撃。蒸気とオイルの多重の瀑布を描き刃が殺到(ラッシュ)。
“ロゼッタ”の残像(デコイ)を八つ裂きに。CPUの勝利。
“エレ”の胸部に鋼の塊-踵“ヒール”がヒット。
“ロゼッタ”の回し蹴り。
“エレ”の胸部装甲が爆散(パージ)。リアクティブアーマー。ノーダメージ。吹き飛ばされるが着地。
“ロゼッタ”の第三の腕(リボン)がそれを追撃。紡錘形を形成して猛撃。
“エレ”の強制命令介入(フィジカルハッキング)がそれをキャンセル。リボンの構造を分解。
“ロゼッタ”の残り二本の腕が切り飛ばされる。
“エレ”が地中に残した伏兵(ブレード)。戦術ミス。
“ロゼッタ”の腕は最初から使われていない。囮(デコイ)。
猛然と接近したロゼッタから放たれたハイキックがエレの頸椎を破壊。
衝撃が少女の上半身を粉砕した。
それは奇怪なオブジェのよう。
それは乱れ咲いた薔薇のよう。
少女の存在価値がそこに降臨したかのようだった。
自由への飛翔
疾走弾雨
視界を覆う煌めくデジタル情報
血風瓦解
-------------------
“ロゼッタ”は駆け出した。
脚部のサーボが駆動して、白煙をあげながら回転。視界をうねるデジタル信号たちが敵機の集弾予測ポイントで綺羅めく曲線を描き出した。
ジャンプ。
少女とそれを包む機動ユニットが、瞬く間に空へ駆け上がった。
フラッシュ。
敵機をジャミングするためのデコイたちが背部から次々と虹色の軌跡を描いて射出された。
クラッシュ。
敵機から発射された誘導兵器群がそれらに衝突、撃破。
ブレイク。
残った誘導兵器がロゼッタへ殺到。回避。少女後方で自爆。
ダンス。
クロームの軀中から伸びたジェット噴射口が後方に一直線に伸びた。
ダッシュ。
一直線に。
---------------------
“エレ”は自分の射撃がすべて敵機を捉えきれなかったことを悟った。
彼女の軀中から幾重にも枝分かれしてブレードが発生し、八重垣を形成した。
相手は高速で飛来する機動兵器。これを捕捉するのは極めて困難だったが、相手の目標は自分の撃破、決定打を失った今、止めを刺しにこちらに一気に接近してくるはず。
それはつまり、自分はもうすぐ死ぬということ。
そしてつまり、相手ももうすぐ死ぬということ。
やってやる。
限界まで加速された視神経は、視界を極彩色に彩った。
フリルからの大量の熱の放出のため、周囲は焼け爛れていた。
両脚のアンカーのボルトが爆発し、地面から固定を解除する。
--------------------
“ロゼッタ”が超音速で衝突。
“エレ”の張り巡らせたブレードの85パーセントが大破。
“ロゼッタ”の多重構造装甲ドレスが破片となって衝撃波と共に四散。
“エレ”、高周波ブレードを八方から乱撃。蒸気とオイルの多重の瀑布を描き刃が殺到(ラッシュ)。
“ロゼッタ”の残像(デコイ)を八つ裂きに。CPUの勝利。
“エレ”の胸部に鋼の塊-踵“ヒール”がヒット。
“ロゼッタ”の回し蹴り。
“エレ”の胸部装甲が爆散(パージ)。リアクティブアーマー。ノーダメージ。吹き飛ばされるが着地。
“ロゼッタ”の第三の腕(リボン)がそれを追撃。紡錘形を形成して猛撃。
“エレ”の強制命令介入(フィジカルハッキング)がそれをキャンセル。リボンの構造を分解。
“ロゼッタ”の残り二本の腕が切り飛ばされる。
“エレ”が地中に残した伏兵(ブレード)。戦術ミス。
“ロゼッタ”の腕は最初から使われていない。囮(デコイ)。
猛然と接近したロゼッタから放たれたハイキックがエレの頸椎を破壊。
衝撃が少女の上半身を粉砕した。
それは奇怪なオブジェのよう。
それは乱れ咲いた薔薇のよう。
少女の存在価値がそこに降臨したかのようだった。
2009年6月20日土曜日
1-2
陽が地平線から姿を現そうとしていた。
仄暗いビルの隙間で、“エレ”は瞼を開いた。
視界の片隅、彼女の人工の眼球の丁度右下に、「観客」たちが集まり始めていた。
「うるさい」
声に出してみる。
自分の幼い発声が余計いらだちを募らせた。
統治歴5065年、10月20日。
今日の客の入りも上々だった。
自分の視覚野に大勢の人間たちがログインしているのだ。
今日、ハンス=ベルメール社の大規模作戦が実行される。
相手は自分と同じ気の毒な少女たち。
こんな殺人ショーのために、なぜこんなヒラヒラしたお仕着せを身に纏わねばならないのか。
このフリルの切れ端一枚で、大勢の難民が救える値段がするだろう。
いや、この社会においては、彼女もまた莫大な値段がついている。
エレは自分もまたこのフリルと同じように装飾品であり消耗品であるのだと実感した。
自分もまた、いつかは相手の放った徹甲弾になぎ払われる日がくる。
それが早いか遅いかの違いだけ。
それを少しでも遅らすために、今日もまた殺すのだ。同じ境遇の相手を。
彼女は自分の傍らに鎮座する鉄塊を見上げた。
30mm機関砲。冗談みたいに凶悪な外見の兵器を、今日もまた担がねばならない。(それこそ冗談のような図だ)
支給された砲弾は連続掃射で3分間しか持たない。
そのあとは肉弾戦だ。
軀中に仕込まれた高周波ブレードはあらゆる構造物をたやすく切り裂くはずだった。相手方の装甲服を除いて。
このゴージャスな衣装はまた、その頑丈さにも莫大な金額がかけられているのだった。
自分は奏者なのだ。
この冗談のような外見の、冗談のような性能を持つ兵器たちの。
エレは自分に言い聞かせた。
そしてこの馬鹿騒ぎは奏者の死によってのみ、一時的な静寂を迎える。
自分は死ぬまで演奏を続けるだけ。
立ち上がると風が頬をくすぐった。
今日も暑くなりそうだった。
仄暗いビルの隙間で、“エレ”は瞼を開いた。
視界の片隅、彼女の人工の眼球の丁度右下に、「観客」たちが集まり始めていた。
「うるさい」
声に出してみる。
自分の幼い発声が余計いらだちを募らせた。
統治歴5065年、10月20日。
今日の客の入りも上々だった。
自分の視覚野に大勢の人間たちがログインしているのだ。
今日、ハンス=ベルメール社の大規模作戦が実行される。
相手は自分と同じ気の毒な少女たち。
こんな殺人ショーのために、なぜこんなヒラヒラしたお仕着せを身に纏わねばならないのか。
このフリルの切れ端一枚で、大勢の難民が救える値段がするだろう。
いや、この社会においては、彼女もまた莫大な値段がついている。
エレは自分もまたこのフリルと同じように装飾品であり消耗品であるのだと実感した。
自分もまた、いつかは相手の放った徹甲弾になぎ払われる日がくる。
それが早いか遅いかの違いだけ。
それを少しでも遅らすために、今日もまた殺すのだ。同じ境遇の相手を。
彼女は自分の傍らに鎮座する鉄塊を見上げた。
30mm機関砲。冗談みたいに凶悪な外見の兵器を、今日もまた担がねばならない。(それこそ冗談のような図だ)
支給された砲弾は連続掃射で3分間しか持たない。
そのあとは肉弾戦だ。
軀中に仕込まれた高周波ブレードはあらゆる構造物をたやすく切り裂くはずだった。相手方の装甲服を除いて。
このゴージャスな衣装はまた、その頑丈さにも莫大な金額がかけられているのだった。
自分は奏者なのだ。
この冗談のような外見の、冗談のような性能を持つ兵器たちの。
エレは自分に言い聞かせた。
そしてこの馬鹿騒ぎは奏者の死によってのみ、一時的な静寂を迎える。
自分は死ぬまで演奏を続けるだけ。
立ち上がると風が頬をくすぐった。
今日も暑くなりそうだった。
1-1
zap,zap,zap
TVモニタのブランク、ノイズ。
上空からのスプリンクラーの雨によって目を覚ます。
34地区に出撃した“ロゼッタ”は作戦開始から200分経過したところで撃墜された。
周囲には街の残骸。
死ぬほどに窮屈な機動ヴィークルのコックピットのモニタの片隅で、液晶パネルがAM2:00を指していた。
ロゼッタはその小柄な軀には不釣り合いの大きさのリボンを不快げに揺らした。
周囲は暗い。
彼女の瞳はおよそ闇夜という脅威から無縁であったけれど、この時間帯は気が塞ぐ。
それは周囲の廃墟がまるで自分の一部、いや自分が廃墟の一部になってしまったのではないかという“あの感覚”に似ている。
機体の残骸から這い出すと、横殴りのビル風が少女の長い銀色の髪とスカートをはためかした。
軀からは接続されたコード類が血管が触手のようにヴィークルに延び、それはさながらヴィークルという人体の心臓が直接体外に摘出されたかのようだ。
事実、彼女は心臓部であった。
対コーポーレート製機動兵器群に対抗するために作られた、不格好で頑丈な機動兵器の、その最もヤワで重要な生体パーツとして、少女は埋め込まれていたのだった。
TVモニタのブランク、ノイズ。
上空からのスプリンクラーの雨によって目を覚ます。
34地区に出撃した“ロゼッタ”は作戦開始から200分経過したところで撃墜された。
周囲には街の残骸。
死ぬほどに窮屈な機動ヴィークルのコックピットのモニタの片隅で、液晶パネルがAM2:00を指していた。
ロゼッタはその小柄な軀には不釣り合いの大きさのリボンを不快げに揺らした。
周囲は暗い。
彼女の瞳はおよそ闇夜という脅威から無縁であったけれど、この時間帯は気が塞ぐ。
それは周囲の廃墟がまるで自分の一部、いや自分が廃墟の一部になってしまったのではないかという“あの感覚”に似ている。
機体の残骸から這い出すと、横殴りのビル風が少女の長い銀色の髪とスカートをはためかした。
軀からは接続されたコード類が血管が触手のようにヴィークルに延び、それはさながらヴィークルという人体の心臓が直接体外に摘出されたかのようだ。
事実、彼女は心臓部であった。
対コーポーレート製機動兵器群に対抗するために作られた、不格好で頑丈な機動兵器の、その最もヤワで重要な生体パーツとして、少女は埋め込まれていたのだった。
登録:
コメント (Atom)











